匠の本領発揮

その利用者数の少なさから京阪電車公式Twitterでも「地下遺跡」なんて揶揄される中之島線の駅ですが、デザインの美しさ、斬新さは、西の中之島線、東のみなとみらい線と言っても過言ではありません。本物の木材を使用した駅舎はまるで高原に佇む高級な保養地のよう。とても地下駅とは思えない香りと開放感に、メンテナンスが大変そうだなと余計な心配をするばかり。そんな中之島線の駅入口の駅名標はデザインの処理方法にも凝っているのです。まずは中之島駅をご覧ください。

これは地上にある建物ですが、濃紺のカラーが駅名部分だけでなく建物の外壁にも周り込んでおり、建物と駅名標が一体化した素敵なデザインになっています。ありそうでなかった、このデザイン。美しさと実用性が同居した素晴らしい処理方法ですね。中之島線開業直後にこの入口を見たときは、思わず「やられた」と声に出してしまったデザイナーの方も多いのではないでしょうか。では、遠くから眺めるとどのような佇まいに見えるのでしょうか。今度は大江橋駅を例に見てみましょう。

見事に街に、建物に調和しています。本当に美しいですね。都会の中にこのようなデザインの入口があったら毎日の仕事も楽しくなるのではないでしょうか。考えすぎでしょうか。コンクリートの無機質な建物とは違い、背景のビル群を軽井沢の高原に変えても違和感のない、まるで脱サラした地方移住者が営むオシャレカフェのよう。別に他意はないですよ。「劇的ビフォーアフター」よろしく加藤みどり氏の声で「匠の心意気が存分に表れた都会のオアシスです」と脳内再生されてしまいそうです。そして、この大江橋駅にはもうひとつ凝った「アイコン」があります。

こころまち、作れたね。

スクエア状の駅名標の下に売店を表すアイコンが設置されています。これは地下のエキナカに売店がありますよという印。わざわざ地上の入口でアイコンを用いて表記するなんて、なかなかシャレたことをします。ちなみに濃紺のアイコンスペースが3つ並んでいますが、表記されているのは中央の売店だけ。両サイドはカラーの微妙な違いからも分かるように、どうやら隠されてしまったようです。元々は別のアイコンも並んでいたものと思われますが、これはまさかあまりの利用者数の少なさに...。これ以上はやめておきましょう。

つづいては一気に北上し、京都市内にある七条駅です。こちらも中之島線と同様に地下駅ですが、地上に存在する駅入口の駅名標のカラーがこれまでに出てきた濃紺や白とは違い、グレーに。おそらく前のページで出てきた景観条例に配慮するとともに、建物の雰囲気とマッチしたカラーに変えたのでしょう。その証拠に大江橋駅では濃紺であった電車のアイコンが七条駅では白くなっています。

なお、この七条駅、建物のサイドには旧デザインの表記が微かに残されています。ついつい見落としてしまいがちですが、このように昔のサインを探して歩くのも楽しいですね。時間を忘れてしまいます。

 

さて、長々と駅入口の駅名標の紹介をしてきましたが本番はここからです。次のページではホーム用の駅名標について、同じく見落としてしまいがちな細かな違いについて見索して行きたいと思います。大丈夫です、そこまで深くはないはずです。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2016.07.29

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