ゴナ・新ゴ問題

ここまで新タイプの駅名標を一通り見てきましたが「沼」ではありませんね。単純なバリエーションの違いです。さて、つづいては旧タイプの駅名標の見索へとまいりますが、まずは久里浜線新大津駅を例に2つの駅名標をご覧ください。

同じデザインでありながら書体が異なっています。実はこれ、京急ファンの間では有名な話でもあり、ゴナと平成角ゴシック体の字形に大きく差があることから気づく方も多い違いなのです。例にあげた新大津駅に限らず基本的に旧タイプの駅名標は屋根から吊り下げられた「吊り下げ型」がゴナ、屋根のない場所で自立する「建植型」が平成角ゴシック体となっている法則があり、もじ鉄のみなさんにはお馴染みの観察ポイントとなっています。

 

しかし一概に「旧タイプの駅名標にはゴナと平成角ゴシック体の2種類があります。」という話で終わらないのが「えきもじ」のおもしろいところ。スティーブ・ジョブズのプレゼンで言うところの「One more thing」でしょうか。なお、One more chanceを願って明け方の桜木町で君の姿を探している人は、Appleではなくセロリの人です。

さぁみなさん、ゴナに引きつづき新ゴの登場です。サインシステムを観察する者にとっては避けて通れない「ゴナ・新ゴ問題」。同じように見えるのに実はまるで違う。まるで前橋と高崎の関係、いや八戸と弘前ですね。

 

そんな旧タイプの駅名標ですが、紺地の新タイプが導入される以前の近年に交換されたものに関してはデジタル(DTP)に対応していない写植書体のゴナではなく、多く流通しているDTP対応の新ゴで表記されており、堀ノ内駅の場合は隣接する京急安浦駅が2004年に県立大学駅へと改称されたことによって、旧タイプでありながら新ゴが使われた駅名標が登場しました。ということでもちろん県立大学駅の駅名標にも新ゴが使われています。

中には京急田浦駅や安針塚駅のように、新タイプの駅名標で使われている薄型(LED照明)の筐体でありながらデザインは新ゴバージョンの旧タイプという新旧が融合したような駅名標もあり、書体やデザインといったグラフィック面だけでなくプロダクトの視点からも楽しめます。と、あたりまえのように「楽しめます」と書きましたが、これで楽しめる人はいるのでしょうか。いたら教えてください。飲みに行きましょう。

 

さて、このように旧タイプの駅名標にはゴナ、平成角ゴシック体、新ゴの3パターンが存在することが確認できましたので、これでひと段落と都内へ戻る快特の車中、なにげなく眺めていた車窓から京急新子安駅を通過した際に妙な違和感があり、後日改めて京急新子安駅を訪れてみると...。

どうですか、この動体視力。ってそんな話ではありませんね。なんと京急新子安駅はゴナ(A)、新ゴ(B)、平成角ゴシック体(C)と、3つの書体が同じ駅で楽しめる「絶対フォント感」を鍛えるには打ってつけの駅だったのです。これは興奮を隠しきれません。同じ駅の同じデザインの駅名標でありながら3つの書体が混在する空間は、そうそうないのではないでしょうか。しかしながら、遅かれ早かれ新タイプの駅名標に交換されることは確実であり、もじ鉄のみなさんはぜひ今のうちに京急新子安駅へと足を運ばれることをオススメします。JR京浜東北線新子安駅からもアクセスは可能ですが、ここはやはり京急に乗って確かめに行きましょう。ローカル線のごとく「乗って残そう京急線」ではありませんが「乗って捧げよう京急愛」です。もし、さらなる愛情を捧げたいのであれば、ぜひ京急不動産へも足を運んでみてください。港町のタワマンなんてどうでしょう。

 

と、ここまでブルーの切れ込みがかっこいい旧タイプの駅名標の書体の違いについて見てきましたが、最後にもうひとつ忘れてはならないのがFrutigerの駅番号。それでは品川駅の駅名標をご覧ください。

京急不動産のステマじゃないよ!

この駅名標、どこかに違和感を覚えませんか。「KK 01」と表記された品川駅の駅番号は他の駅と同じくFrutigerですね。特に気になる点もないように思えます。いいえ、実はアッと驚くような違いが隠されているのです。アッと驚くかどうかは別として右下の次駅表記、北品川駅にご注目ください。品川駅の南側にあるのに「北」品川というおなじみのアレではないです。駅番号です。

この人、いちいち気にしていて疲れそう。

ご覧ください、FrutigerではなくHelveticaです。いったいなぜ「KK 02」だけHelveticaになってしまったのでしょう。念のためFrutigerとHelveticaではどの程度の差異があるのか、同じ「0」と「2」のつく京急川崎駅の駅番号で比較してみます。

「2」に大きな差があることが分かりますね。Helveticaのように「2」の文字の先端が水平に切れているか、Frutigerのように垂直に切れているかで印象がだいぶ変わります。みなさんはどちらの書体がお好みですか。駅番号と言えばFrutigerのイメージも定着してきた昨今、改めてHelveticaの美しさにも気づかされますね。

 

つづいては駅名標以外のサインシステムにも注目してみましょう。ここにも意外と見落としがちな違いが存在しているのです。

リラックマとのコラボにより「京急リラッ久里浜駅」となった駅名標。キャラクターが用いられた駅名標は数あれど、駅名そのものにキャラクター名を入れてしまうのは京急だけ? (現在は終了)

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2016.10.07

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