いつもの文字からレア文字まで

ホーム用の駅名標については前のページに引きつづき旧デザインのものから見て行きましょう。こちらも駅入口の駅名標と同じく、制作・設置時期の違いによってナールの駅名標とスーラの駅名標の2種類が存在。比較的最近になって貼り付けられた駅番号もDINではなく英字表記と同様のHelveticaです。

旧デザインの駅名標で注目すべき点は両サイドの前駅・次駅表記。柴又駅の場合は前駅の「かなまち」と次駅の「たかさご」がナールDBですが、駅によってはウェイト(文字の太さ)が異なるタイプもあります。

よく見てみると前駅の「けいせいつだぬま」と次駅の「みもみ」がナールDBではなく、細めのナールMですね。

 

しかし「みもみ(実籾)」という駅名がかわいらしいです。ぜひ女の子が生まれたら「みもみちゃん」と名づけたくなります。これならば鉄道に興味のない非鉄の母親でも鉄道要素が存在することに気づかず賛成してくれそうです。自分の子どもの名前に鉄分を挿入したいときは「のぞみ」や「ひかり」などのあからさまな名前ではなく、京成の「みもみ」や京阪の「のえ(野江)」など、一見すると気づかないマニアックな駅名をチョイスしましょう。それならば両家のご両親も「鉄分に気づかないまま」納得してくれるはずです。男の子はそうですねぇ、京成線の駅名で選ぶならば「海神(かいじん)」でしょうか。

そしてこちらはナールとよく似たスーラが使われている駅名標です。ナールはデジタル化されていないこともあって、PC上での駅名標再現には写研フォントなどのアウトライン化サービスを行う専門の業者さんにオーダーをしなければなりませんが、スーラはフォントワークスにて購入可能です。

 

さて、つづいてはナールでもスーラでもない駅名標をご紹介します。

都営浅草線との境界駅である押上駅は本所吾妻橋方のラインカラーが朱色となっており、書体も新ゴが使われています。浅草線側の駅番号(A20)も京成線の旧デザインの駅名標で使用されているHelveticaのデザインに準拠しており、都営地下鉄や東京メトロの駅番号でおなじみのFuturaではありませんね。

 

ちなみに東京スカイツリーの事業主体は東武グループの東武タワースカイツリー株式会社。倒置法とでも言いましょうか、首都大学東京のようなネーミングです。どうでもいいことですが竹内まりやさんの名曲「本気でオンリーユー」も「オンリーユー本気で」と単語を並びかえることで、とたんに若者感が増すように思える日本語のおもしろさ。さらに「本気」を「マジ」と読ませることでマイルドヤンキー感さえ味わえます。なお広末涼子さんの大ヒットソング「MajiでKoiする5秒前」は作詞作曲が竹内さん。広末さんの原曲ではピュアな女の子という印象が強いですが「竹内まりや」を意識して聴くと不倫の歌にも聴こえてくる不思議。MajiでKoiしちゃいそうな約束の5秒前。刺激を求める主婦の危険な香りです。

文字についてのウンチクがないときは別の話題へと逃げるスタイル。

つづいてはこれまでに紹介した旧デザインの駅名標のさらに前のデザイン、旧々駅名標です。これぞ駅名標とも言うべき昔ながらのものですが、自駅表記の「おおさくら」はナールと同様に写植時代の書体であるツデイを使用しているものと思われます。そう「思われます」と言うからには確証が持てません。現在流通していないツデイを手に入れることは困難であり、照らし合わせての検証が難しくあります。ただしツデイをデジタル化したネオツデイとほぼ同様の造形であるため「おおさくら」の文字はツデイと考えていいでしょう。ちなみにネオツデイはフォントマニア必須の商品、もらってうれしいプレゼント第1位(もじ急行調べ)に輝くモリサワパスポートに契約をすることで手に入れることができます。ぜひ、ネオツデイで駅名標再現を楽しんでみてください。

 

ところでツデイという名前の由来はなんでしょう。Todayでしょうか。ビルディングとビルヂングの関係性に似たようなものを感じますが、グアム島をガム島と呼ぶ人は確実に昭和の人間です。間違いない。

それでは最後にオマケとして京成線でありながら京成線ではない駅名標です。こちらのデザインは京成千原線、旧千葉急行線の駅名標ですね。千葉市南部から市原市北部にかけてのニュータウン開発に合わせて建設された第三セクターの千葉急行電鉄は、本来であれば京成千葉線の千葉中央駅から小湊鉄道の海士有木(あまありき)駅までを結ぶベッドタウン路線として通勤輸送を担う予定でしたが、バブル崩壊に伴う宅地開発の遅れ、高額な運賃がネックとなった予想を下回る輸送人員などによって、途中のちはら台駅までを開通させたのちに破綻。1998年より千葉急行から経営を引き継いた京成電鉄が千原線として運行をつづけています。「千」葉と市「原」を結ぶので「千原」線、ですね。おそらく。

 

新しいデザインのサインシステムが導入されたことによって、千原線もほかの京成各線と同様に旧デザインの駅名標が姿を消しつつありますが、2017年3月現在、千葉寺駅でのみ旧千葉急時代の駅名標を見ることができます。書体はナール、Helveticaと京成線の駅名標に準拠していますが、ラインカラーや駅名表記の位置が異なりますね。

 

さぁ、それではお待たせいたしました。次のページ以降では新デザインの駅名標を徹底的に調べつくします。「えきもじの見索」史上、最大の写真点数でお届けします。ここからが本番です。期待せずにご期待ください。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2017.03.30

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