オールディーズな文字を棚つか

さて、ここからはオマケです。みなさん、秘境駅はお好きですか。例えば両サイドをトンネルに囲まれ、外界との「接点」がない室蘭本線の小幌駅。駅前に民家どころか公道すらない飯田線の小和田駅。うんうん、行ってみたいですよね。ところで秘境駅がお好きということは廃墟のような雰囲気にもグッとくるはずです。有名どころでは長崎の軍艦島。今はなき横浜ドリームランドモノレールの遺構。秘境や廃墟という言葉にはロマンがあふれています。しかし、なかなか行きづらいのが問題点。もっと身近なディープスポットはないのでしょうか。おや、どこからかジョン・カビラさんの声が聞こえてきましたね...。

 

「あるんです!」

 

ちなみにジョン・カビラさんの本名は川平慈温(かびらじおん)。じおんかびら、じぉんかびら、じょんかびら。ということです。そんなことはどうでもいいのです。きかんしゃトーマスのナレーションが森本レオさんからジョン・カビラさんに変わったことでソドー島がJ-WAVE感に包まれ、意識が高まったものの、相変わらずトーマスの意識は低すぎて重大インシデント連発、国交省案件、トップハム・ハット卿の更迭ないし辞職間違いなしなことはどうでもいいのです。

 

秘境や廃墟とまでは行かないものの「昭和」が止まったままの人気(ひとけ)なき薄暗い空間。そんなディープで怪しい駅が京成線にありました。って知ってますよね。

前置きが長いんだよなぁ。

鉄道ファンならご存知、東成田駅です。「えきもじの見索」京成電鉄編の最後は東成田駅のオールディーズな文字たちを、棚からひとつかみ。

 

「みなさんこんにちはご機嫌いかがでしょうか山下達郎ですえきもじ京成編のラストはわたくし山下達郎が東成田駅の写真を最高の画質でお届けします」(かなり早口で)

 

ささ、TOKYO FMサンソンリスナー以外は置いといて、空港第2ビル駅の改札口前にひっそりと佇む「東成田駅への連絡口」から東成田駅まで歩いてみましょう。

東成田駅をご存知ない方のために簡単に説明をすると、1978年(昭和53年)の成田空港開港当初に作られた旧成田空港駅のことです。空港ターミナル直下にある現在の成田空港駅、空港第2ビル駅が開業してからは空港の玄関口としての役割を終え、おもに空港勤務の方を中心とする通勤輸送へとシフトしましたが、その利用客の少なさから独特の雰囲気を醸し出す「身近な秘境駅」として一部のファンから人気を集めています。

 

そんな東成田駅への連絡通路はご覧の通り、人の気配を感じることのないヒンヤリとした空間。空港内ということもあってか数十mおきに設置された幾多の監視カメラと、出口の見えぬ長いトンネル。携帯も圏外。ゆえに途中疲れようとも、限界は論外。YO!

 

このまま進んで大丈夫だろうかと不安を抱きつつも歩きつづけること約10分...。

到着しました、東成田駅です。どうですか、昭和感があふれていますよね。そして誰もいません。かつてはトランクを抱えた旅行客で賑わっていたであろうこの駅も栄枯盛衰、今や「生ける昭和」として成田空港の片隅にひっそりと佇んでいます。

出口へとつながるエスカレーターは動かず、休止中。注意喚起の看板も時代を感じる素敵な文字です。せっかくなので地上へも上がってみましょう。

この雰囲気、たまりませんね。閉鎖されたガソリンスタンドの待合室かと思いました。そして地上付近にはこんなサインも。

エスカレーターに乗った人のピクトがかわいらしいです。そして首が細い! 注意看板は味のある手書き文字で「検問所」が空港感を漂わせます。

地下へ戻って駅構内を探索。使われていないエリアは電気も点いておらず柱の広告看板も外され、なにやら備品のようなものが放置されています。この中へも入ってみたかったのですが進入禁止のため柵越しに写真だけ撮って退散。

ホームへと降りるエスカレーター(休止中)付近には丸ゴシックの注意書き。英字がかっこいいですね。ディズニーランドで言うところのトゥモローランド的タイポグラフィは大好物です。昭和における未来を感じさせます。

階段を降りるとこれまた素敵な看板が。重心が下に寄った「お」のバランスが絶妙なかわいさです。ちなみにこれまで誰ひとりとして利用客を見かけていません。どれだけ利用者が少ないのでしょうか。まるで沖縄県内におけるこたつ普及率並みです。

「なりたくうこう」と記された古い駅名標も残っていました。大佐倉駅の駅名表記と同じくツデイでしょうか。2面4線のうち旧成田空港駅の駅名標が残っているホーム側の電気は終日消灯されているため、ISO感度を上げてノイズと戦いましょう。

使われていないホームには、これもまた時代を感じさせる「エスカレーター」。「S」のどことなく不安定な形にグッときてハッとします。また天地に色帯を配するデザインは現在の北総線のサインシステムに通じるところがありますね。

まだまだご紹介したいものはたくさんあるのですが、2016年のFNS歌謡祭における長渕剛の「騙されねぇぜTVショー」案件並みに長くなってしまうのでこれで終わりにしましょう(まだ言ってる)。最後は乗車位置案内です。「位」の絶妙なヌケ感がそそります。個人的には視力検査のような「C」が好みではないのですが「E」と「R」のバランスは最高です。少し歪なものって素敵ですよね。人間自身もパーフェクト・ヒューマンより、どこか歪で癖のある人のほうが魅力的であったりします。もしかしたら文字もそうなのかも知れません。最後に良いことを書こうと思いました。かたい絆にー、想いをよせてー。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2017.03.30

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