白いごはんと、おみそ汁

電車に乗るとき、まず最初に目にする「えきもじ」は駅の入口にあるこの看板。白地に赤い東急マーク。そして少しグレーがかった文字で駅名が書かれているシンプルなデザイン。日本語書体は、もはや見ない日はないというほど鉄道や公共施設、雑誌にテレビなど多くの空間・媒体で使用され、公共サインでの使用率トップ(たぶん)に君臨するモリサワの新ゴ。英字書体は、こちらも同じく見ない日はない王道中の王道、映画にもなったスイス生まれのHelvetica。この新ゴとHelveticaの組み合わせ、例えて言うのならばなんでしょう。まさに白いごはんと、おみそ汁。絶対的な安心感です。

駅名標だってオシャレに、そう東急ならね

東急は各路線ごとにラインカラーが定められており、ホーム用駅名標もそれに準じたラインカラーで統一されています。東横線はレッド、池上線はピンクなど。おなじく電車の車体に巻かれた帯の色も東横線はピンク、池上線はレッド(またはグリーン)など。おや、東横線の駅名標はレッドなのに電車の帯色はピンク。池上線の駅名標はピンクなのに電車の帯色はレッド(またはグリーン)。さてはて、これはどういうことでしょう。まぁ、細かいことは気にしないでおきます。

 

駅番号の表記方法はラインカラー地に白抜き文字。ただし唯一の軌道線である世田谷線のみラインカラーがイエローであるため、視認性の観点からラインカラー(イエロー)地に黒字で表記されています。これはイエロー地に白文字という似通った色、いわゆる近似色を避けるための配慮ですね。

ホーム用駅名標の書体も、駅入口と同じく新ゴとHelveticaという王道の組み合わせですが、駅番号は若干風合いの違う柔らかな曲線が特徴的なMyriad。このMyriadという書体、見たことありますか。実はこんなところに使われている有名な書体なんです。

ここで見事な伏線回収ですよ!

そうです、Appleです。iPhoneやiPad、iMacにMacBookなど、Apple社の製品に多く使われている世界的に有名な書体ですね。スタバとMacと東急線、これはあながち間違いではないのかもしれません。と、前のページの伏線回収をしたところで、さらにMyriadを見て行きましょう。(iPhoneの指定書体はiPhone 7よりMyriadからSan Franciscoへ変更。2016.12.09 追記)

 

Appleで使用されているウェイト(文字の太さ)はLightですが、東急はBold。Lightにくらべ3段階太く(Light→Regular→Semi Bold→Bold)なっています。公共サインでの視認性を考慮すると、やはり東急で使われているBoldがベストですね。ちなみに池上線の路線記号「IK」(アイ・ケー)の「I」(アイ)は、小文字の「l」(エル)との混同を避けるため、「I」(アイ)の上下に横棒が追加されたフタ付きの「I」(アイ)に変更されています。これは都営地下鉄三田線の路線記号「I」(アイ)でも同様の処理がされ、普段なにげなく見ている文字たちも、分かりやすさ、見やすさを追求するべく、実は細かなところで手が加えられているのです。文字たちの黙って仕事をする姿、素敵ですね。

そんな東急の駅名標ですが、実は同じデザインのように見えて「I」(アイ)以外にも駅によって細かな違いがあるのです。くわしくは次のページでじっくりと。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2016.05.25

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