駅名標再現クラスタ諸君

2文字駅から6文字駅まで計5種類の文字数の中で、それぞれの字間はどのようになっているのか。今回は分かりやすく東急の駅名標デザインを(ほぼ)完全再現したグラフィックとともにご紹介いたします。

 

字間の計測方法としては、Adobe Illustratorのトラッキング設定の数値を元に、打ちっぱなし状態(手を加えていない状態)を「0」とし、字間が開くごとに数値が大きくなる方法で計測したいと思います。分かりやすくという言葉はどこへ行ったのか。前言撤回の分かりにくい方法で申し訳ないのですが、ここは鉄道趣味の中でもディープな分野に属する「駅名標再現クラスタ」のみなさんに向けて、踏み込んだ内容でお届けします。ぜひこの数値を元に再現を楽しんでみてください。なお前のページでご紹介した字間、書体のウェイトなどのバリエーション違いは、標準的な駅名標(多数派)を元に見索することにします。

まずは2文字の場合です。あくまでも写真からトレースしたものであるため、実際と多少の誤差はありますが、便宜上「蒲田」のアキ量を450で設定すると、写真にピッタリと合うことが分かりました。

次に3文字の場合です。こちらも「蒲田」の2文字駅と同じくアキ量450でピッタリと合います。ここで2文字と3文字の場合はどちらもおなじ字間(アキ量450)であることが分かりますね。では4文字になるとどうでしょう。

4文字になるとこれまでの字間から一変、だいぶ狭くなりました。それでは最後に5文字の場合を見てみましょう。(たまプラーザの6文字を失念...!)

失念したまま再取材しないボクはO型。

5文字の場合も4文字と同じ字間です。ここでひとつ見えてきたことがあります。2文字と3文字、4文字と5文字で2種類の字間があるということ。ではなぜ統一せず、2つの種類があるのでしょうか。

 

文字数が少ない場合、字間を狭くするとどうしても「真ん中にギュッ」とした感が生じてしまい、中心だけ窮屈な印象になりがちです。逆に文字数が多い場合、字間を広げると文字が全体に散らばったような、まとまりのない印象になってしまいます。そのため、2文字と3文字はアキ量を多めに設定し、4文字と5文字はアキ量を少なくしたのでしょう。とはいえ百聞は一見に如かず。もしも「2文字駅の字間が狭かった場合」と「5文字駅の字間が広かった場合」を見てみましょう。懐かしの「もしもシリーズ」です。

字間が狭くなった「蒲田」はどこかで見たことがありますね。前のページでご紹介した池上線石川台駅と池上駅の字間です。なにも言われなければ違和感がないのですが、やはり字間を広くとったほうが全体のバランスがよくなります。つづいて字間が広くなった「すずかけ台」。こちらは一目瞭然ですね。どことなく「抜けた」印象が強くなります。いずれもサインシステムに限った話であり、ロゴや広告などあえて抜けた印象を出すために字間を広くとることもありますが、こちらは公共サイン。役割の違いからこのような字間に定まったものと思われます。みなさんが普段なにげなく見ている駅名標も、実はいろいろと考えられて制作された「ひとつの作品」です。実際に駅名標を見て、もしかしたらこういう意図でこのようなデザインになっているのかな、なんて考えて見るのもおもしろいかもですね。

 

さてさて、話がマニアックな路線に走りすぎました。どこからか「電車は美術館ではなく単なる移動手段だよ。」という呆れたような声が聞こえた気がしましたので、次のページではもっと分かりやすい「東急線に存在するいろんなタイプの駅名標」を見て行きたいと思います。まだ見ます。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2016.05.25

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