かわいい文字たち

「いい電は行灯型の接近灯が特徴的で、飯坂温泉駅には国鉄サインを彷彿とさせる案内標も残っており、もじ鉄的におもしろい路線ですよ!」

 

いい電1000系をデザインされた小松さんから届いた一本のメールに心踊らざるを得ないのが、鉄道にまつわる文字やデザインに興味を惹かれる「もじ鉄」の性。これは現地に行くしかありません。この目で見なければなりません。ということで小松さんガイドのもと、いい電こと福島交通飯坂線の「いい文字」たちを集める旅に出発です。

小松さんが装飾をデザインされた、いい電1000系のヘッドマーク。星の数は飯坂線の駅数を表している。下部の装飾にはハートマークとウサギのシルエットが隠されているとのこと、見つけられたかな?

今回のためにとリュックに詰め込んだフルサイズの一眼レフ2台に、望遠1本と単焦点2本のレンズ3本、そして15インチのノートパソコンという肩が破壊されてしまうような重い荷物を背負って福島へ...、行くには幼いころから運動が大の苦手であり、体育祭をサボり、マラソン大会もサボり「男の子なんだからサッカーでもして遊んできなさい」と母に急かされ、同じく運動能力の乏しい父親と近所の公園へ出かけるも、父の蹴ったサッカーボールがひと蹴り目で隅田川に着水するという運動音痴の遺伝から逃れられなかった筆者ゆえ、この荷物を抱えて駅まで歩き電車を乗り継ぐことは困難以外の何者でもなく、東京の自宅から車に乗りドアtoドアで福島へ。

 

のはずが、まさかの寝坊に予期せぬ首都高の事故渋滞と、いい電をガイドしていただける小松さんとの待ち合わせ時間に大遅刻をしてしまうことが道中に判明し、慌てて進路を東京駅へと変え、駐車場に車を停め、東北新幹線に飛び乗るドタバタ出発劇に幸先を思いやられるも、福島駅にて無事小松さんと定時で合流。なにごともなかったかのように、いい電の改札口へと向かうのであります。前置きが長い。

さっそく、いい電福島駅の入口にて味のある手書き文字を発見。近代的なビルの谷間に潜む昭和の雰囲気がたまりませんね。「電」に比べて「車」の文字が小さいとか、そういう野暮なことは言わないのが手書き文字を愛する者のルール。これが良いんです。

 

ちなみに、いい電福島駅は阿武隈(あぶくま)急行線との共同使用駅であるため「阿武隈急行線」の案内も併記されています。福島に降り立ち、いい電に乗って飯坂温泉へ行こうか、それとも阿武隈急行線に乗って阿武隈川の渓谷を見に行こうか、ノープランで「今日どうしよう?」なんて考えてみるのもいいかも知れません。

 

「共同使用」だけに。

寒波到来。

ホームには写植書体であるゴナを使用した出口・のりかえ案内標。赤丸の矢印がとってもキュート。そして「東北本線」「奥羽本線」の表記にも旅情をかきたてられますね。もしも新幹線の並行在来線として第三セクターになっていたら「みちのく東北ライン」という名前にでもなっていたのでしょうか。大反対です。

そして小松さんオススメの「いい文字」がこちら、接近灯です。なんとまぁ素敵な文字なのでしょう。絶妙な曲線にセクシーさすら感じるこの造形は、現代の「フォント」では出会えない貴重な一品。見方によっては温泉に浸かってふやけてしまったかのような心地の良ささえ伺えます。淡いグリーンの枠もかわいらしいですね。

ちなみに接近灯の「いいざかおんせんゆき」の隣は平日に2本のみ(2017年4月現在)の「さくらみずゆき」。もちろん鉄道ファンとしてはこの桜水行きを撮らない手はありません。小松さんが作字された1000系の車番フォントとともに...。

さぁ、それではいい電の新型車両1000系に乗って飯坂温泉方面へと向かいましょう。車内には温泉気分を盛り立てる「ゆ」の暖簾。その上には近代的なモニターも完備。グラデーションとパースの効いた遠近感のあるデザインが凝ってます。

まずは桜の美しい上松川駅で下車。いい電の駅名標はいたってシンプルかつオーソドックスな白地に黒い両矢印のデザイン。こちらの手書き文字もどことなくかわいらしさを感じる「いい文字」です。それでは詳しく見て行きましょう。

ひらがなの「抜け感」がたまりません。特に「つ」の字が絶妙なかわいさですね。ちなみに漢字表記に対する仮名表記の配置方法は「上松川」という全体の3文字に対して「かみまつかわ」と中央に表記するのではなく「上」に対して「かみ」、「松」に対して「まつ」とそれぞれにルビが振られている、専門用語で言う「中付き」や「字付き」と呼ばれるもので、阪神電車における駅名標の仮名表記と同様の配置です。しかし「か_み」「ま_つ」「か_わ」とそれぞれの字間(文字の間隔)が広いためか「か」「みま」「つか」「わ」に見えてしまうドジッ子感。それもかわいい。

 

なお英字表記は新たに貼り直した跡が見られますが、こちらは「KAMIMA"TU"KAWA」だったものを「KAMIMA"TSU"KAWA」に直したためとのこと。

そんな手書きの駅名標も着々と新たな駅名標へ衣替え中。最新の駅名標は以前の構成を踏襲しながらも新ゴが用いられた現代的なデザイン。デザインの凝った駅名標は数あれど、やはり白地に黒矢印のシンプルなデザインは視認性が抜群ですね。

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文・写真 _ 石川祐基 | 公開日 _ 2017.04.22

いい電の、

いい文字。

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考察内容はもじ急行の見解に基づくものであり、実際と異なる場合がございます。また記載されている情報は特記事項を除き取材当時のものであり、現状と異なる場合がございます。

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